
KEY PHRASE 1: 自然と社会を結びつけているのは、わたしたち人間を流れるエコロジーである。
自然の中で生存し、社会を創り上げていく過程で、私たちは「共感」や「思いやり」という人間だけが備えるエコロジーを獲得した。このエコロジーは、人が社会的・環境的困難に遭遇した時に、またそのような困難を抱える人々と知り合った時に、その身体の内なる部分に生起し人々に伝わっていくものである。そして、エコロジーの流れは、家族・友人・仲間の共感や思いやりを獲得することで、徐々に大きな潮流へと変わっていき、最終的には社会そのものをエコロジカル・デモクラシーへと変革する力をもっている。
KEY PHRASE 2: 自然を直すと社会が治る。社会を直すと自然が治る。という、不思議な回路が存在する。
不思議なことに、良好な自然が保たれている場所 には、素晴らしい人々の営みが存在しており、そして、素晴らしい社会は持続的な自然管理の上で成り立っている。だから、良好な自然資源を守りたい時には、自然そのものに手を加えるだけではなく、社会に働きかけることも忘れてはいけないのである。
KEY PHRASE 3: エコデモはいつでもどこでも存在する
エコロジカル・デモクラシーを体現する、自然・まちづくり・共生・社会問題などに関する活動や実践は、そこここに存在している。そう、世界を新たな道へと導いていく希望は既にたくさん存在しているのだ。ただ、多くの人々は、自らの活動にエコロジカル・デモクラシーとしての価値があることに気付いていないか、もしくは自分たちと同じ価値や信念を持つ活動と知り合えていない。だからこそ、私たちはこれらの無数にある小さな活動を、エコロジカル・デモクラシーという 新たな価値で束ね、自然と社会の持つ楽しさと豊かさを多くの人々と共有したいと考えている。
KEY PHRASE 4: デモクラシーとエコロジーが出会い、「自由」「平等」「平和」「共感」「美徳」という5つの価値を備えるエコロジカル・デモクラシーが生み出された。
元来、私たち人間は、自然の生態系の一部として生き、そして自然を慈しみ恐れていた。近代社会の到来は、このような人間と自然の関係性を大きく変更し、私たちは自然から切り離された営みを行うようになり、また、自然の摂理が反映されない領域を徐々に拡大していくこととなる。この時期に私たちが確立した統治形態がデモクラシーであり、デモクラシーは「自由」「平等」「平和」という価値を与えた。
そして現代に入り、私たちは地球規模の環境問題に対峙し、自 然の重要性を再認識しはじめている。少しずつではあるが、デモクラシーという価値を備えたまま、私たちは自然と再び出会うことを求め、そして「共感」と「美徳」という二つの価値に気付き始めている。
私たちは「自由」「平等」「平和」「共感」「美徳」という5つの価値を備えるエコロジカル・デモクラシーという新たな考え方を獲得し始めているのである。